(相談事例)
 私の母が先日亡くなりました。母名義の土地があり,母の死後に相続人全員で話合いを行い、私がその土地を相続する事になっています。土地について今すぐ名義変更しておくべきでしょうか。
*なお,架空の相談事例です。
(コメント)
 不動産売買では,契約を交わしただけでは買い主は不完全な所有権を取得するにとどまり,不動産登記を行うまでは完全な所有権を取得したとは言えません。不動産登記まで行って初めて不動産の所有権を完全に取得する事になります。そのため,不動産を取得する場合には登記を行う事は非常に重要です。
 そのため,架空相談事例のようなケースでも,相談者は,亡き母の相続人全員に連絡及び協力を取り付けた上で,母名義の土地を自己名義に直ちに登記する必要があります。
 登記はいつでも出来ると考えて,登記をされず,遺産分割協議書等の書面も作成されない方も多いです。しかし,そのような場合で長期間登記をせずに放置している場合には,相続人が亡母の相続時の話合いについての記憶が風化したり,相続人が亡くなって事情を知らない相続人の子らに協力を取り付けなければならないケースも出て来るため,ケースによっては連絡先が分からない,相続人が多数になるなどの理由で手続が複雑になる事態に陥ります。
 そのため,相続に基づいて不動産を取得したときには,登記に必要な書類も確保しやすく,また,話合いをした相続人全員が生きている間に直ちに登記を為ておくことが重要です。
 後回しにすると,ケースによっては,訴訟などで判決を経る必要も出て来るため,その場合には弁護士費用なども必要となり,不動産登記に必要な書類を揃えるために多額の費用を要する事もありますので,注意が必要です。
 もし,未登記不動産の不動産登記について気になった場合には是非お近くの司法書士さんにご相談下さい。