当事務所でも遺言書の作成に関わる事が多いですが,遺言書について大きな制度改正がありましたので,触れたいと思います。
 若干不正確ですが,遺言書はおおきく分けると公証人役場の関与の下で作成する遺言とご自身だけで作成される遺言とがあります。
 このうち,ご自身だけで作成される遺言については,遺言書の紛失・亡失するおそれがあることや相続人により遺言書の廃棄・隠匿・改ざんが行われるおそれがあることなどの問題があり、このような問題により相続めぐる紛争が生じやすい事が指摘されていました。
 そこで、公的機関である法務局が遺言書を保管する制度を創設したという経緯となります。
 法務局における遺言書の保管のメリットは法務局が保管することで上記の問題点を防止できるという点にあります。また,ご自身だけで作成された遺言書については,遺言通りに不動産登記や金融機関での払い戻しを受けようとすると,原則として家庭裁判所による検認を得る事が必要となりますが,法務局の遺言書の保管制度の利用がある場合にはこの検認手続きが省略できるという点も大きなメリットです。
 法務局のHPを見ると,平成30年7月13日から2年以内に施行される予定となっており,現時点ではまだ実施されていないようですが,実施されると有用な制度ですので,積極的にご利用を検討いただければと思っております。