債権回収のための手段としては不動産に抵当権を設定するとか,連帯保証人をつけてもらうなど法律的には色々方法があるかと思いますが,今日は支払督促という手段をご紹介させていただこうと思います。
支払督促とは,お金の支払を求める場合に利用されるもので,訴訟に比べて簡単な手続で,判決と同一の効果を得られる手段です。
この支払督促の利点は、訴訟に比べると手続きが簡単なため,弁護士などの専門家に頼まなくても出来るため、短期間で費用もあまりかからないという事です。また,裁判所からの命令であり、強制執行出来る効力が付与されるので、債務者に対してプレッシャーを与える事もでき,これが発せられるだけで任意に払ってくれる人もいます。さらに,時効を中断させる効力もあります。
一方で,支払督促のデメリットは、相手方が簡単に異議を申し立てる事ができ、異議が申し立てられると通常の訴訟に移行します。この場合、基本的には相手方の住所地で訴訟をしなければならず,相手方が遠隔地に住んでいるようなケースでは交通費がかかったり,出廷のための時間が掛かったりします。
こういったデメリットもあるため,支払督促は,請求の内容に間違いが無く,かつ,異議申立をされる可能性が少ない場合に適していると言われています。
冒頭で支払督促が簡単な手続きで出来ると紹介しましたが,これは訴訟手続きに比べて簡単という意味です。実際に支払督促手続きをされた方の中には慣れない手続きのため,難しいと感じられる方も多いですので,ケースバイケースで弁護士などの法律専門家に任せられると良いかと思います。
本日はこれくらいで。
2014年03月
秘密証書遺言とは
遺言を行えば,遺言によって財産を取得できる人もいますが,逆に,遺言があることで本来の法定相続分より少ない遺産しか取得できなくなる人もいます。このように遺言は法定相続人や遺言で財産を取得する人たちの周りで,様々な利害関係を生み出すものでもあります。
そのため、遺言の内容を事前に明らかにしておくと不必要なトラブルを生むのではと危惧される遺言者もおられるかと思います。そういったときに活用されるのが、秘密証書遺言というものです。
秘密証書遺言は,遺言者が,遺言の内容を記載した書面に署名押印等するなどして、公証人及び証人2人の前で作成されるものです。
この秘密証書遺言の作成により、遺言書が間違いなく遺言者本人のものであることを明確にでき,かつ,遺言の内容を誰にも明らかにせず秘密にすることができます。一方で、公証人が遺言の中身を確認していないため、その有効性に関する争いが起きる可能性があったり、家庭裁判所に届け出て,検認手続を受けなければならないなどのデメリットもあります。
内容をどうしても秘密にしたい場合にはこの秘密証書遺言という方法も良いのですが、何となく知られたくないという程度であれば、前回ご紹介した公正証書遺言の方がおすすめ出来るところです。
というところで、今日のところはこんなところで。