深川総合法律事務所

 2014年1月から現在に至るまで深川で仕事をしている弁護士のブログです。深川をはじめとして妹背牛,秩父別,雨竜,北竜、沼田,幌加内の方からご相談・ご依頼を受けることが多いですが,旭川・滝川・砂川・美唄・留萌など色々な地域のからの相談を受けています。相談が多い分野は相続,交通事故,高齢者に関する相談(成年後見等含む。)が多いですが,様々な相談を受けております。詳細はhttps://fukagawa-lo.com/をごらん下さい。  

2015年03月

(架空相談事例)
 Aさんは未成年者Bさんを抱える母子家庭です。Aさんの元夫は酒癖が悪く,Aさん,Bさんに対して暴力をふるうこともたびたびあったため,Aさんは自分自身に何かあったとしても,Bの後見人は元夫以外の人がいいと考えています。
 このような場合に,Aさんがとれる手段はないでしょうか。
(解説)
 このような相談は多いわけではありませんが,時々ご相談を受ける事があります。このような場合には,元夫が親権者の変更(民法819条6項)の申立てて,その上で,親権を行使して未成年者を保護するのが本来的な流れかと思います。
 しかし,今回の事例のように元夫側に問題がある場合もあり,このような場合に親権者の変更という手続きをとることでBさんの福祉に悪い影響を与えるおそれがあります。
 そこで,考えられるのが遺言による未成年後見人の指定という事です。
 家庭裁判所は,未成年後見人となるべき者がないときは,未成年者や利害関係人からの申立又は職権で,未成年後見人を選任する事ができます(民法840条1項)。そして,未成年者に対して最後に親権を行う者は,遺言で,未成年後見人を指定する事が出来ます。そうすると,未成年後見人は指定された者がなることになるというわけです。
 それでは,遺言を書けばそれだけで安心なのかというと,未成年後見人が選任された後も親権者変更の申し立てが出来なくなるわけではなく,この点については注意が必要です。
 そのため,実際に未成年後見人の遺言による指定を行う場合にはどうしてそうしたのかという事を証拠化するという事や未成年後見人になってもらう人の素性や未成年者とつながりが深い人を選ぶ必要があると思います。遺言を単純に書けば安心ということではなく,リスクをできる限り排除するという意味で弁護士へのご相談をおすすめするケースです。
 
 

(架空相談事例)
 公正証書遺言を作成したいのですが,どこで作成すればよいですか。また,作成前に弁護士さんに相談する人がいるのはどうしてですか。
(検討内容)
(解説)
 まずは公証人役場があります。遺言内容が決まっているのであれば,公証人役場で相談すれば公正証書遺言を作成する事は可能です。
 しかし,私がこれまで受けてきた相談や事件の中では遺言内容について十分に注意が払われていない遺言も多く見受けられます。遺留分権利者(子,配偶者)がいるにもかかわらず,全ての財産を特定の第三者に対して交付するという遺言も多いかと思います。
 ただ,これを行ったとしても子や配偶者には遺留分があるため,遺留分をめぐるトラブルになったりする事があります。また,生前贈与などがある場合には相続の処理が複雑となるため,その生前贈与については遺産の前渡しとするのか明確にしておく必要があります。
 遺言を残す際は,誰かにお世話になったお礼であったりして,その人のために行っているのに,かえってトラブルに巻き込んでしまい,迷惑をかける可能性もあります。
 そのため,遺言内容については後日の紛争を避けるために弁護士への相談の必要性が生まれてくということになります。これは弁護士は職務の性質上遺言にまつわるトラブルに関与しているため,どのような遺言がトラブルになりやすいかが予測できるからです。
 また,公証人は当事者の代理人ではなく,公平かつ中立な第三者として,公正証書遺言作成に携わるため,当事者のための戸籍を調査して相続人調査をしたり,財産調査を行った上で財産目録を作成したり,後日のトラブル防止のため,遺言時の判断能力が正常である事を示す証拠を保全したり,遺言内容について踏み込んだ提案は行えません。
 そのため,弁護士が遺言作成に携わる事が多いわけです。(もちろん,深川には公証人役場が無いことから手続き的な部分を代理するという意味で弁護士にご相談される方もおられます。)

 ラーメン屋さんからフランチャイズ店を出したいので,その契約書を作成して欲しいという相談がありました。ただ,商標登録が未了だった事もあり,商標登録を先行させるため,弁理士を紹介した事があります。このように身近な飲食店でも商標や特許といった手続が必要となる場合が有ります。

 農業経営者の方でも,
①アーチ型パイプをネットで覆い、その上にカボチャの茎葉をはわせ、空中で果実を着果、肥大させる栽培方法(特許第1989869号(平成7年11月8日)他)
②リンゴ等の果樹栽培において、果実を覆う葉を結束することにより、果実の着色を促進させる方法(特許第3523250号(平成16年2月20日))
③培土を袋に充填し、袋をそのまま鉢の代わりに利用して植物を栽培する方法(特許第3379937号(平成14年12月13日))
 といった特許を取得しているケースもあるなど,知的財産権の問題は,農業が基幹産業の北空知地域においても重要な問題です。

 こういった知的財産権の相談窓口として,特許庁が弁理士や弁護士による無料相談窓口を設置しています。北海道でも札幌にこのような窓口があるようですので,もし,特許や商標などの知的財産権に関心がある方は,一度ご相談されると良いでしょう。

知財総合支援窓口
www.chizai-portal.j

 先日平成27年2月27日に第三回目の無料法律相談会を行い,時間帯を変更して実施しましたが,無事に終えることができ、ありがとうございました。(なお、年度が更新されても無料法律相談会(年3回程度)を続けるかどうかは現在検討中です。)
 
 ただ、まだまだ弁護士へのアクセスを容易にする必要性は感じているところですので、今後も折りに触れて何かやっていこうと思います。

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