先日は,終活マルシェにたくさんの方にお越しいただきありがとうございました。実行委員の一人としてお礼を申し上げます。
 成年後見制度について誤解を受けていると感じる部分があったので、少し説明したいと思います。
問1 専門職成年後見人はお金が掛かるので,財産が無いと選任できないのでしょうか?そのため,利用には慎重になるべきでしょうか。
A 財産が無い場合でも,専門職成年後見人の選任は可能です。申立人が候補者を立てられないケースでは,専門職成年後見人に社会福祉士,司法書士,弁護士といった専門家が後見人になる事が多いですが,実際には報酬を見込めない案件でも誰かが受任をしています。私が所属する弁護士会でも経済的余力が無い方についても,家庭裁判所より候補者の打診要請が来れば,打診を受けた弁護士は利益相反などの理由が無い限り,これを断る事は出来ない運用となっています。私自身も生活保護の方の成年後見人も行っています。また,専門職成年後見人として遺産分割協議,債務整理,訴訟業務,不動産売買などを行った場合には,通常委任のケースよりも大幅に抑えられた報酬で業務を行っているケースも多く,全体として本人の財産に過度に負担になるような報酬決定はなされないことが通常です。
 私見ですが,成年後見制度の利用の要否を考えるにあたっては成年後見人を選任することで費用が掛かるかという観点で考えると状況判断を見誤ると思っています。仮に成年後見人が選任されていない状態でお年寄りがお金をだまし取られれば,それを取り戻す事は容易ではありません。認知症が進み,本人自身で財産管理が出来ない場合には,最寄りの相談機関や専門家に積極的に相談する事が重要です。
問2 北海道には信託銀行が無いので,後見制度支援信託は利用できないの?
A 旭川や深川の方でも後見制度支援信託を利用する事が可能ですし,事例もあります。信託銀行は札幌に集中していますが,後見制度支援信託契約は郵便での手続きも行う事ができる事になっています。